終末期・緩和医療に於ける「スピリチュアルケア」について
即應翠蓮でございます。
スピリチュアルケアという言葉をご存知でしょうか?
昨今、緩和医療の現場でスピリチュアルケアについて研究がなされています。
スピリチュアルケアとは厳密な定義はなされていませんが、「人の心の健全性を守る」ことを軸に示されています。
元来、医療の現場は「科学的に立証されないものはないものとみなす」風潮がありましたが、ここ数年、人が伴う痛みの種類を分類するなかで、スピリチュアルペイン(霊的痛み)というカテゴリーを確立しました。
スピリチュアルペインとは、日本緩和医療学会学術大会の大会長である斎藤洋司氏(島根大医学部教授)によると、終末期に於いて「なぜ私なんだろう、何か悪いことをした罪なのか、あるいは前世での行いが悪かったのか」と思い悩み、死への恐怖や、葛藤、他人に世話をしてもらわないと過ごせないなかでの羞恥心などが交わることによって生じる悩みが総合的に影響しあって痛みや苦しみとなるとしています。
したがって、単に腕を抓ったら痛くなる痛みとは別物です。精神的苦痛と捉えることもできますが、終末期に於いては人間の根本的自我である生への執着の表現であると私は考えます。
この痛みは全ての人間に起こりうることであり、当然ケアの必要性が生まれます。
それがスピリチュアルケアです。
こうしたケアには大きく3種類の体系があり、宗教的ケア・科学的ケア・複合的ケアの3つがあります。
宗教的ケアは、宗教師(住職・牧師)などがそれぞれの宗教的立場から、教義を伝えることにより救済しようとする方法です。生前葬儀もケアの一つであるとする考え方もあります。
科学的ケアは、科学的見地から救済しようとする方法です。
複合的ケアは、上記二つを組み合わせて救済しようとする方法です。
我が国では未だスピリチュアルケアが必要であるとする認識が薄く諸外国よりも遅れをとっております。
翠蓮は現在、緩和ケアに向けた仏教師をサポートする準備を進めています。
今後の発展を祈念しつつこの活動をサポートしていく所存であります。
即應翠蓮 合掌