【心・禅・美的コラム】四苦八苦とは
即應翠蓮でございます。
私達は非常に苦労した時「四苦八苦した」という言葉を口にします。実はこの言葉仏教用語なのです。
まず生・老・病・死の四つの苦しみがあります。
その次に毎日私たちが生きるなかで、生じる四つの苦しみとして=愛別離苦(あいべつりく)・怨憎会苦(おんぞうえく)・求不得苦(ぐふとくく)・五薀盛苦(ごうんじょうく)があり合わせて四苦八苦(しくはっく)といいます。
愛別離苦とは愛する人と別れる苦しみ。
怨憎会苦はいやな人とも出会わなければならない苦しみ。
五薀盛苦は人間の心身をつくっている色・受・相・行・識の五要素から生じる苦しみをいいます。
これらの苦しみの中でとても辛いものは、愛するものと別れる苦しみであります。これほど辛く堪え難いもはないです。
別れには親や兄弟、夫との死別もあれば愛する家族や恋人との生き別れもあります。
そして様々な愛別離苦の中でも愛する子供に先だたれる苦悩を~逆縁~といいます。
通常は親が先に逝くのですから順序が逆の死別を意味します。これほど悲痛なものはないでしょう。
最近、求不得苦すなわち求めても得られない苦しみ・希望が達せられない・求めても手に入らない等を理由に無差別に人を殺めたとんでもない事件がありました。
自分の私利私欲から罪のない人達の家族を遺族という言葉に置き換えられ
た苦しみは決して癒えはしません。
愛別離苦の苦しみは死別ばかりの苦しみではなく、生きている者との別れの苦しみも意味としていますので、例えるなら、行方不明のお子様の帰りを待つご家族の苦悩、子供の安否を気遣う親の苦悩ほど辛く、切なく遣り切れないものです。
続く・・・
即應翠蓮 合掌